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自衛官の採用年齢の上限が26歳から32歳へと引き上げされました。
32歳までであれば自衛官になれる
僕の周りには20代後半で自衛隊に入りたい、と言っていた方々がいらっしゃったのでラッキーだな、と思いました。
今回は僕の自衛官としての経験を交えながら、自衛隊の採用年齢の引き上げについてフランクに語っていきたいと思います。
令和になっても隊員の不足は大変なことになっており、緊急で人員の確保が行われています!!
防衛省・自衛隊が2022年度に採用した任期制自衛官の候補生が計画人数の半分以下だったことが分かった。これまで最も低かった18年度の72%を大幅に下回る40%台後半だった。政府がめざす「防衛力の抜本的な強化」の実現へ人材確保策が急務となる。 2023年4月18日 日本経済新聞
そもそもなぜ32歳まで引き上げることになったのか
このことについては、ロイターや産経ニュースでも語られているように、長引く少子化によって隊員の充足率が足りていないことが挙げられています。
具体的に見ていくと、
- 自衛隊の採用対象人口(18歳から26歳)は、1994年の1743万人から、2018年には1105万人まで減少
しているそうです。
採用対象人口は約37%も低下してしまいました……
先日も、日本の全人口における70歳以上の割合が20%を超えたことが話題になっていましたね。
超高齢化社会の到来となったわけです。
そしてそんな中、自衛官候補生の応募者の割合も低下しているようです。
- 自衛官候補生試験の応募者数も、2013年の3万3534人から2017年には2万7510人に減少した。
こちらもわずか4年で約18%の低下です。
そうした状況もあって、自衛隊の充足率は、
- 自衛隊の定員24万7154人に対し現員は22万4422人で、充足率は90.8%。
- 内訳では幹部自衛官の方が充足率が高く、「士」と呼ばれる一番下の階級では73.7%にとどまっている。
とのことです。
つまり、自衛隊全体では、充足率が90.8%となっていますが、
士の階級が圧倒的に足りていないということです。
士とは陸空海での階級で、それぞれ階級の高い順から、士長⇒1士⇒2士となっています。
なぜ自衛隊では士の充足率が低いのか
このことについては、まず社会的な情勢として、
- 少子化による影響
- 有効求人倍率の増加
などが挙げられます。
基本的に自衛隊では、自衛官候補生にしろ一般曹候補生にしろ、数年間の下っ端時代を終えて試験に合格した後に3曹になってからが一人前の自衛官という認識があります。
- 例えるなら、下っ端時代は契約社員で、それ以降が正社員というような認識です。
そして階級の曹になる試験はけっこうというか、かなり大変です。
なのでベテランの士がいるのもこういうのが関係しています。(もちろん曹にはなる気のない人もいるかもしれませんが)
曹の試験は一発ではまず受からないと言われてます。
そういった背景もあって、
- 雇用が安定しているようで安定していない
といった将来に対して漠然とした不安を抱えている人たちも中にはいます。
よく僕の上官の方は、
- 自衛官になる門は広く開けているが、曹になるところでその門は急激に狭くなる
と言っていました。
昔と比べて曹になりやすくなったとはいえ、依然として難しいのは変わらないそうです。
解決策としては、
採用試験では着隊して士と幹部はありますが、曹がないので、3曹から配属される一般の採用試験があってもいいのかもしれません。
それからやはり、せっかく自衛官になっても辞めてしまう人たちも見受けられます。(僕もそうですが)
この辺はよくパワハラだったり、人間関係だったり、時間に拘束されたり、といったさまざまな理由があります。
それらのことについて僕自身が個人的な見解を述べると、
- 民間と同じようにパワハラはあるところはあるが、激しい暴力はない。
- 士の数が足りないこともあって、そこそこの駐屯地ならともかく、小さな分屯地だと警衛やら当番がよく回ってくる
といったところです。
基本的に、暴力は厳しく指導されるようになっていますし、暴行になりますのでないと考えてもらって大丈夫です。そもそも自衛隊ではそういった問題を起こすと昇進するのが遅くなります。下手をすれば3~2曹で定年を迎えてしまうようになります。特に最近では本当に厳しいです。
僕が教育隊にいたときも区隊長は、辞める隊員がいないこと、を念頭においていました。
それくらい昔に比べてマシになっています。
次に分屯地だと警衛やら何やらで忙しいというところですが、これは事実です。けっこうな頻度で回ってきます。
代休がもらえるとはいえ、なかなか大変です。
結局のところ何が問題なのか
現代に生きる僕たちは昔とは比べてさまざまなキャリアを自分で選べるようになりました。
大学に行くのも、就職するのも自由だし、どこで何をしようと、悪いことさえしなければ自由です。
そしてひとつのところで定年まで働くというような考え方は無くなりつつあります。
長年勤めたところから転職することだってあります。
そういったこともあって、昔なら通用していたことも、今じゃ通用しなくなりつつあります。
僕らの時代だと仕事を辞めることなんて珍しいことじゃありません。
結局のところ何が大事なのかというと、時代の流れに沿った組織体系やシステムの見直しをしていくということです。
そういった意味合いでは、採用年齢を引き上げるというのは苦肉の策かもしれませんが、アリだと思います。
時間はかかると思いますが、少しずつ変わっていくのだと思います。
とにかく自衛隊に入りたい人にとっては千載一遇のチャンスです。
自分が自衛隊に向いているかどうか知ったうえで志望するのがベストだと思います。
自衛隊に向いている人、向いていない人についてガチで解説してみた
これから自衛官になる方の参考になればと思います。
自衛官になるには? 試験内容や倍率、採用後の流れまで徹底解説
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